仕事をしていて、ぷぅんとサンマを焼く匂いがしてくる。
急にお腹が空く。
お隣さんが夕飯の支度を始めたみたいだ。

秋刀魚を焼く匂いはきっと50年前から変わらないんだろうな。
帰り道、どこかの家から漂ってくるいい匂い。
ああ、あの家は今夜サンマか。
お父さんが心のなかでつぶやく。
調理器具は変わっても、昔から変わらない秋の一場面なのだと思う。
 
さて秋刀魚だけれど、やっと値段が下がってきた。
そもそも「一尾100円」のイメージがあるのに最近は高い。
それでもこの季節になると食べたくなるものである。

去年は色々な食べ方を試してみた。
ハーブでソテーにしたり、三枚におろしてチーズと大葉と巻いて焼いたり。
しかし結局は塩焼きや刺身でシンプルに頂くのが一番旨い。
そもそも秋刀魚は「お洒落に」食べようとする食材ではない気がする。

楽膳の秋刀魚刺し

楽膳の秋刀魚刺し。
盛り付けが美しく、厚切りで食べごたえがある。
すだちをぎゅっと絞って。
毎年頂く一品。

美味しい食材が沢山あり、日に日に姿を移す自然も綺麗な秋。
とても好きな季節。
いろいろ食べて、いろいろ見て、いろいろ撮りたい。