ななちゃん

この前。
雪がまだどっさり積もっていたときのこと。

夏見の実家の庭で3匹のシェパードと雪合戦をしていた。
雪球を投げると、ポールくんは飛び跳ねて喰い付く。
それが面白く、雪かきを休んで遊びに興じていた。

それを見て駆け出してきたのが黒ラブラドールの「やまと」くん。
まだ生後6ヶ月でとても可愛い。
名前を呼ぶと尻尾を振って寄ってくる。

いやーかわいい。黒ラブいいなー。
よし、写真を撮ろうとカメラを構えてもう一度呼ぶ。

「やまとくん!」

すると彼は嬉しそうに駆けて来た。
ガシャン!
やまとくんは自分の目の前の柵に前足をかけ、思い切りジャンプ。 

「ガシャン!」 

同時に僕の足元でも大きな音がした。



それは持っていたカメラが落ち、地面に叩きつけられた音だった。
やまとくんの勢いに驚き、手から離れてしまったのだった。
ストラップを首にかけていなかったのが甘かった。

写真を撮るどころではない。
幾多の感動と興奮を共にしてきた大切なカメラ。
動転しながら慌ててレンズの様子を確認する。

ほっ。

レンズは無傷の様子。
ツイてるなと安堵し、もう一度カメラを構えたとき-

壊れたカメラ

…液晶がバリバリに割れていた。
ファインダーの付いていない自分のカメラにとって、液晶が割れるというのは携帯の液晶が割れるのと同じこと。
液晶が使えないと写真は撮れない。

オーマイガット。

しょんぼりしていると、義母が声をかけてくれた。

「中でお昼食べていってね。」 

色々作ってくださったが、ほとんど味がしない気がした。
カメラが無い休日は、自分にとって余りに味気ない。 



お昼を食べて、とぼとぼヤマダ電機へ。
心なしか踏む雪は重い。

もちろん保証は効かない。
メーカー保証は自然な故障を補償するもの。
自己責任の「落下」は基本的に対象外。
これを機に、自分でカメラに保険を付けることにした。

* * * 

大切なものは、絶対に手から離してはいけない。

カメラをお使いの皆さん。
写真を撮るときは絶対にストラップを首からかけてください。
もちろん、撮った画像を確認するときも。
これだけでリスクはかなり減ります。

覆水盆に返らず。
落ちたカメラ元に戻らず。

しばらく昔のカメラで撮ることにしよう。
それも意外に楽しかったりする。