とても貴重な本ができあがった。
戦前・戦後の船橋の様子を生の声で伝え残す本。

『聞き書き-いま、思い出す船橋の戦前・戦後』

船橋の戦前・戦後(表紙)

作られたのはoffice SAYAさん。
office SAYAさんはご夫婦で手作りの『自分史』を作られている編集室。
(以前に当ブログでもご紹介しました)

今回の『船橋の戦前・戦後』はこんな本。 

戦前戦後を船橋で過ごされた方、13人へインタビュー。
お歳は68歳~96歳。
書かれているのは1929年(昭和4年)~1955年(昭和30年)のこと。 
ご飯に遊びに仕事。
当時の何気ない日常を思い出しながらお話いただき、そのままの言葉で綴ってあります。

それはおばあちゃんの思い出話であり、おじいちゃんの昔話。
教科書にも『わたしたちの船橋』も載っていない生の声。
形として記録しなければ消えていってしまう、私たちの街の歴史。

その意味で大変貴重なもの。

お話くださった13人の中には僕の大叔母も。
ほかには中山の喫茶店ストロベリーの三輪さんや
コピエの風間さんのお祖母様、グランドホテルの皆川さん(お父様)。
「あの頃」、そして今を船橋で生きる方々。 

* * * 

中を覗いてみる。

船橋の戦前・戦後(中身)

漁師や肉屋、農家に材木屋。
それぞれ全く異なる商いの家に生まれた皆さんの当時の暮らし。
活字を通じ、あの頃の様子が鮮やかに広がっていく。

通りに響く「物売り」の威勢の良い声。
漁師町ならではの遊び。
昔は大きな沼だった船橋駅北口でのウナギ採り。
叔母に内緒で買ったダンスシューズ。
空を真っ黒に埋め尽くすB29の群れ…。

時系列で綴られる13人それぞれの人生、それぞれの風景。
テレビや教科書には無い説得力と親近感。
僕は知らないはずなのに、知っているような懐かしさ。
そして子どもの目から見た戦争というもの。

思い出されたままの語り言葉で紡がれていく。
面白くて、一気に読んでしまった。

誰もが小さいことを大切にしているように感じた。
モノは少なかった。皆が苦しかった。
しかし、貧しい中にも一人ひとりの楽しみを見つけ、一生懸命に生きていた。
そんな力強い息遣いが本の中にはあった。

* * * 

『聞き書き-いま、思い出す船橋の戦前・戦後』

工程が全て手作りであり、大量生産を目的としていないため、 十数冊しか作られていません。
公の場所で読めるのは以下2ヶ所の民間図書館。

・船橋北口図書館
(船橋市海神2-8-14) 
・船橋本町通まちづくり図書館(船橋市本町4-34-13

お寄りの際は、ぜいお手にとってご覧ください。
私も一冊持っています。
「借してほしい」という方がいらっしゃいましたらば、お声がけください。

船橋にゆかりのある方に、読んでいただきたい本です。