「ココの麻婆豆腐は船橋一うまいよ!」

楽膳店主、荻野さんがススメてくださった。 
安斎さんも美味しいとおっしゃっていた。

周りのグルメな方々も足を運んでいる。
噂の麻婆豆腐。

しかし、行く勇気が出なかった。

辛いものが苦手だからだ。

正確に言えば「苦手」とはちょっと違う。
食べられないわけではない。
ただ、唐辛子を大量に食べるとお腹がゴロゴロしてしまう。
「お腹ゴロゴロ」と言うのが恥ずかしくて、
 “辛いものが苦手”ということにしている。

和辛子やワサビは大好きだし、柚子胡椒といただく刺身は最高。 
ただ、唐辛子だけはお腹ゴロゴロ。

ところが今回「船橋一うまい」と聞いて。
お腹ゴロゴロに好奇心が勝ってしまった。

ワクワクしながらそのお店を訪ねた。

外観

四川料理・三国Ryu(さんごく・りゅう)さん。 

* * * 

階段

一人階段を登る。
初めてのお店はやはり緊張する。

予約が無いことを店長さんに伝える。

「ごめんなさい。今日いっぱいなんですヨ。ごめんなさい。」 

まさかの満席。
さすが人気店。
立ち食いでもいいので、とも言えず。
トボトボ帰ることにした。

帰り道、まるふく農場の竹村くんに会った。
僕はさぞかしシケた顔をしていたと思う。

「Ryuさんの麻婆豆腐、マジうまいっすよ!」 

竹村くんにそう言われ、ますます食べたくなった。
リベンジを心に誓った。 

* * * 

翌日。
再び三国Ryuさんへ向かった。
その日は朝から麻婆豆腐のことばかり考えていた。

やっと入れた。
迷わず麻婆豆腐を頼む。
激辛や超激辛をオーダーするひとも多いそう。

劉さん

シェフの劉(りゅう)さん。
中国四川省のご出身。
小田和正が好きだそうで、この日も店内にはずっと小田和正のCDが流れていた。

全ての料理を劉さん一人で作る。
オーダーしてから一つ一つ作る。
だから時間がかかる。
そのぶん、待つ楽しみがある。

やっと会えた。

麻婆豆腐

麻婆豆腐。

見たことのないビジュアル。
劉さんの麻婆豆腐は赤い。

辛そうだな…と思いながら口へ運ぶ。
やっぱり辛い。
でも辛さの中から「旨み」がジワジワ出てくる。
辛いと分かっているのに止まらない。
こんな麻婆豆腐は初めてだった。


さすがに後は辛くないものがいいなと、メニューを物色。

「え、火鍋食べないの?」

劉さんが寂しそうだった。

次は食べてみよう!

素直に思った。

ピリ辛水餃子

「ウチのピリ辛水餃子は辛くないヨ」

 焼餃子より水餃子の方が好き。
少し辛いけれど、これも美味しかった。

つるむらさきの炒めもの

最後は“つるむらさき”の炒めもの。
 

基本的には辛いものが好きな人向けのお店だと思う。
でも、辛くない料理も旨い。
 
不思議なことに…

麻婆豆腐

家に帰ってまた、麻婆豆腐のことを思い出していた。
さっき食べたばかりなのに。

また食べたいなぁ、Ryuさんの麻婆豆腐。