もともと映画館がそれほど好きではない。

2時間(ときに3時間)座ってじっと画面を見ているのが、ちょっと苦手。
トイレに行きたくなったとき、人前を横切るのが申し訳ない。
集中力も途中で切れる。 
家で休み休みDVDを観るくらいでちょうどいい。

でもたまには、と。
ジブリの最新作『風たちぬ』を観てきた。

* * *

ジブリが好きな人は多い。
僕の周りにも多い。

どれが一番好き?と尋ねてみれば、
ナウシカ・ラピュタ・魔女の宅急便・千と千尋・紅の豚…
色々な答えが返ってくる。 

僕にとってジブリと言えば『トトロ』。
子どものときにトトロのビデオが家にあって、しょっちゅう流れていた。
特に妹二人が好きだった。

「え、昨日も観てなかったっけ?」

そんな感じ。

昔から好きなのがこの2つのシーン。

トトロ1

夜空へ向けて木が伸びていくところ。
 
トトロ2
 
トトロが空を飛ぶ場面。
それも傘とコマで。この発想が素晴らしい。 

ジブリ作品にはよく「空」が描かれているように感じる。
飛行機や空を飛ぶ乗り物もよく出てくる。

きっと宮崎駿氏は空や飛行機が好きなんだと思う。
ロマンがある。
空は僕も好き。

* * * 

風立ちぬ

さて、風立ちぬの話に。
やっぱり飛行機が出てくる。 
ゼロ戦を作った青年の話。

ららぽーとの映画館

ららぽーとの平日のレイトショー。
予想以上にガラガラ。
夜の映画館、なぜかワクワクする。


作品の中でたくさん空が描かれていた。 
表情豊かだった。

画はもちろん、ストーリーも美しい作品。
とても美しい作品だった。

2時間、ずっとスクリーンに目が釘付けだった。

はじめてジブリで泣いた。
終わったあと、「泣きどころ、おかしくない?」と言われた。
しかし、誉め言葉として受け止めた。


10代の頃はテレビや映画、本で泣くなんてあり得なかった。
でも最近、やっと分かってきた。

自身の人生・経験と重ね合わせるから涙が出る。
自分に置き換えたり、共感できるようになる。

歳を重ねるほどに経験は増える。
人生の色々な場面に出会う。

経験のストックが増えるほど、映画や本に共鳴することが多くなるのだと思う。 
人の話を聴いていても同じ。
心から共感できる機会が増える。 


冒頭に“映画館があまり好きではない“と書いたけれど、
『風立ちぬ』を観てやっぱり映画はいいなと思った。