ずいぶん朝顔が綺麗だなと思っていた場所がある。

芝山７丁目の水神池児童公園。
池田工務店さんの隣にある小さな公園。

その日は朝から雨がしとしと降っていた。
晴れたに映える花もいいけれど、雨露に濡れた様も美しい。

よし、今日がいい。
出勤前に公園へ朝顔を撮りにいくことにした。

＊　＊　＊

まず目をを惹いたのがこれ。



鮮やかなロイヤルブルーに洒落た白いライン。
「浮き輪」と名付けた。


無心でシャッターを切っていると、突然声がした。


「写真、撮ってくれてるの？」


カメラの液晶から目を外すと、
ハンチングを被ったおじさんが立っていた。
歳は自分の親より少し上くらい。

訊くと近所に住んでいて、公園の朝顔は全ておじさんが手入れをしているそう。
誰に頼まれるでもなく。

よく見れば、それぞれの種類にビニールテープとマジックで名前が書かれている。 

おじさんは色々と朝顔のことを教えてくれた。



「これはね、団十郎っていう種類なんだ。
 二代目・市川団十郎が好んで着た衣装の色から名前が付けられたんだよ。」

渋い海老茶色。
味がある。



「上に咲いているのはヘブンリーブルー。天空の青、いいでしょ。」

天国ではなく、「天空」と訳すところにおじさんのロマンを感じた。
ひらひら薄い花びらに透けるようなブルー。
青空と並んだところも見てみたい。


「看板の向こうにあるのが西洋アサガオ。見てごらん。」



日本の朝顔より小ぶりで可憐。
アサガオに西洋・東洋があるんだ…。



西洋だけど浴衣のような柄も。



西洋アサガオの葉っぱ。
ハート型でこれまた可愛らしい。



↑日本の朝顔の葉っぱはタレ耳の犬みたいな形だから、だいぶ違う。

そんな感じでしばし、公園前のフェンスを二人で行ったり来たりした。

＊　＊　＊

10分ほどだったけれど、のんびり良い時間だった。 



「じゃ、よろしくね！」 

おじさんは帰っていった。 

こうして写真をまとめながら、「よろしく」された気分に浸っている。



公園にはクレオメも咲いていた。
面白いカタチの花だ。


今までよりも朝顔に親しみを持つようになった。
偶然の出会い。朝顔のおじさんに感謝。


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