1月いっぱいで、船橋の某企業を辞めた知人がいる。

熱意ある方。
物腰が柔らかく、人好きのする好青年。


2月からは遠く離れた実家に戻り、しばらく家業を手伝うと言う。

歳も近く、同じ長男。
商売は違えど通ずるものがある。
「継ぐ」ことの意味は分かる。

ウチはわずかに30年。
彼の実家は明治から続く老舗。
歴史の重みが違う。

商売柄、数えきれないドラマがそこで生まれたのだと思う。
そのお店は途方もない時間、街を眺めてきた。
何代にも渡って守られ、紡がれてきた歴史。

それでも彼はそれをプレッシャーとして感じていないように見えた。

「こっち(千葉)で学んだことを生かして、
実家の仕事でも色々と新しいチャレンジをしたいんです。」

同感。
どんな老舗も大企業も、今までと同じではいられない時代。
 
向こうでもきっと何かやってくれる。 

そんな期待を抱かせてくれるひと。 

離れていても応援したい。

* * *

このまえ会ったとき、彼はこう言った。

「遠からず船橋に戻ってきますよ。」 

嬉しかった。

戻ってくるかもしれない。
戻ってこないかもしれない。 

向こうで何があるかは、行ってみないと分からない。

けれども、彼は戻ってきてくれると思う。

お願いに近い気持ちで、口をついて出たことば。

「また船橋に戻ってきてね。待ってるよ。」

素直にそう言えるまちに住んでいることが、ちょっと誇らしい。

握手をした。
ずんぐり、分厚い手だった。

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次に彼にあったとき。

挑戦に満ちた土産話をたくさん聴けるのを楽しみにしている。