また一つ、老舗の歴史に幕が降りた。

船橋市高根のフレンチレストラン、「しいの木」。 

ライブのお願いをしようと思って訪ねて目にした張り紙。

「2012年12月29日をもって閉店いたしました」

しいの木
 
創業1972年。
生まれる前からそこにあった。
 
パチンコ店やカーディーラーが肩をならべるバス通りにあって異色を放つ白い洋館。
幼い頃は大きな家だと思っていた。
白くて長いヒゲのおじいちゃんが住んでいるものだと想像をふくらませていた。
レストランだと知ったのは、10歳くらいのときだった。 

チェーン店のように代わりがきかない。
オーナーや従業員はこれからどうするのだろう…。
考えだすと淋しくなる。

しいの木は-
いつもそこにある、風景の一部だった。
しばらくすると取り壊されるだろう。
もう見ることはできない。
街の景色は静かに変わっていく。
 

大型ショッピングモール、ぴかぴかのマンション、駅前開発。
意気揚々と新しいものができていく。

その中で、人知れず看板を畳む昔ながらのお店がある。
たくさんの思い出やドラマを持ったまま、ひっそりと無くなっていく。

このような小さな変化を見過ごすようになったとき、
人の心はドライになっていく気がする。

こんなことも思った。

会いたい人には会えるときに会っておくほうがいい。

40年の歴史とともに。

さよなら、しいの木。