恵比寿で飲んだあと、近くのカフェに行った。
東京のカフェは久しぶりだった。

席数は40ほど。
客は20代がほとんどで、 
僕らがフロアで一番年上のようだ。

恵比寿のカフェ20160702
 
午後10時。
間接照明だけの店内。 
雰囲気いいなと、一枚撮ってみた。

土曜の夜のカフェがこんなに混むものなのかと、
ちょっと不思議に感じた。
さすがは東京というところか。

ざっと数えて40席。
フロア担当は一人のようだ。
少し髪の伸びた「アメリ」のような定員さんが、かいがいしくテーブルを回っていた。

そうだ、『アメリ』観よう。
次の土曜日の予定が決まった。

言いたいのは、
東京のカフェって相変わらず格好いいなあということである。

元来「ひとやすみ」の場所なのだろう。
でも、日常的なのに非日常というか、
少し特別な気持ちにさせてくれる場所なのではないかと思う。

カフェのはなし。

* * *
 
18歳で東京に出た。
まず、何も分からない。

2000年前後。
カフェブームが始まった頃だった。

本屋で雑誌のページをめくり、
「東京にはこんなにオシャレな場所があるんだ」と胸をときめかせた。

『東京のカフェ』みたいな本を買い、
週末ごとに一軒一軒訪ねた。
20歳前後のとき。

今思えば、おかしな景色だと思う。
ハタチそこそこの若者が、カフェでビールを飲みながら本を読んでいるのだから。
なんか似合わない。
想像して、恥ずかしいなあ。

上京したばかりの自分にとって、
カフェは東京のまちそのものだった。
座っているだけで、都会的になった気がした。

好きだったのは表参道の「ニドカフェ」。
花屋の脇の階段を上がり、木の扉を開けて店に入る。
味のあるこげ茶色のテーブル。
窓からは小さく東京タワーも見えた。

その景色ががハタチの自分にとっての、東京の風景だった。
サンドイッチもおいしかった。

しゅっとした女性店員さんの姿が印象的だった。
とても格好よかった。
注文を聞かれながら、どきどきした。

ニドカフェ、今もあるのかな。
あったら、また行きたいな。

...

恵比寿のカフェで、
ウォッカ・ソーダを飲みながら思い出す。

東京のカフェもは
いつまでもおしゃれであってほしい。
憧れの場所だったんだよなあ。

(思い出話おわり)