1年3カ月掛けて作った本が刷り上がってきた。

童謡文化を広める会『こころの歌とともに』

NPO法人 童謡文化を広める会のあゆみ
『こころの歌とともに』

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亡くなるその日まで「童謡」文化を伝えることに尽力した一人の女性の情熱と、一緒に歌い続けた沢山のメンバーの、15年のNPO活動をまとめた記録誌です。拠点は鎌ケ谷・船橋およびその近隣。

母世代の編集委員(元NPO会員)の皆さんと、ああでもないこうでもない言いながら、試行錯誤して原稿を作り、撮影しながら形にしました。

制作途中で自身の入院もあり、非常に思い入れの深い一冊になった。病院のベッドの上でデザインを考えたり。仕上がった冊子を手に取り、じーんとしている。こうして一日終わるかも。

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NPOの理事長を務めた瀬川千里さんの急逝を受け、「母が仲間とともに歩んだ道を本にしたい」と娘さんから話をいただいたのが2019年の6月。

歌手である瀬川さんに初めてお会いしたのは2012年。地元の花屋で見掛けた『やぎさんゆうびん』(白やぎさんから〜の歌)のクッキーがキッカケになり、彼女が長年の夢を形にした童謡の館・鎌ケ谷市の「童謡文化園」に足を運んだのが、安藤29歳の時のことだった(その場所も今は閉鎖されている)。

★ 【閉店】唄うレトロな喫茶店「Lala Ru」さん~音楽と手づくりと。
(↑当時の記事/恥ずかしいので読まないでね)

瀬川千里さん(2012)
(はじめてお会いした時の故・瀬川さん/2012.10)

彼女は他界し、想いを本に残すことになった。
もっと話したかったと墓前で手を合わせ。
本ができたらお持ちすることを約束した。


地元の縁って本当に不思議だ。
8年前に偶然会った方が今はもう居なくて、でも想いは残っていて、自分が本にすることになって。人生、分からないものだ。



「童謡」のイメージが変わった


童謡と聞くと、子ども向けのように感じる。
でも実際は違うのだと学んだ。

童謡の詩も曲も、基本的に書いているのは大人である。子どもや家族、人に向けた愛情・優しさ、自然の美しさ、古来より日本人の持つ感性を言葉にし、曲に乗せたのが童謡なのだそう。つまり童謡は、日本人にとっての原風景であり、日本人らしさそのものであると言えるだろう。

子どもの歌でしょ? と安易に考えていたが、実際は遥かに奥深く、価値ある文化だと分かった。原稿を繰り返し読み、少しずつ理解できた。

そのような日本人ならではの感性を、歌うことで伝えてきたのが「童謡文化を広める会」であり、形として残したのが今回の『こころの歌とともに』だと思う。



読んでみたい方はご連絡ください


当誌はNPO会員に配られるほか、さまざまな施設で保管していただく予定です。私の手元でも大切に保存しますので、ご興味をお持ちくださった方、「読んでみたい」と思ってくださった方は、安藤あてにご連絡ください(非売品です)。


【安藤信作/連絡先】
■電 話 090-7414-5595
■メール ando.shinsaku1231@gmail.com
■webサイト しぐれデザイン&フォト



本っていいな


「本を作りたい」と思い始めて15年以上が経つ。
変わらず、本っていいなと思う。
今こうして本を作れていることがとても幸せ。

新卒の頃から書籍とデジタル化の関係について考え続けてきたけれど、やっぱり僕は紙に印刷された活字、それが1枚1枚重なった本が好きだ。

一生懸命作った本が人に届くのが嬉しい。自分の作品を、形あるものとして手に取ってもらえるのが嬉しい。人の手元に残るのが嬉しい。

できあがった今回の本は、今週末に編集委員の皆さんと一緒にページをめくり、「大変だったね。でも良かったね」と語り合う予定。

4カ月前の5月。腹部の激痛に耐えながら制作した(望ましいことではない)、我が子のような『こころの歌とともに』。沢山の人に読んでもらえますように。