お正月に実家に帰ったとき。
母がおもむろに一冊の本を取り出した。

1982年12月の本

年季の入った料理本。
ビリビリに破けて、表紙ではタイトルすら分からない。
(こんな経年変化も紙の良さ)
 
何かと思えば、自分の生まれた年・月の本らしい。
1982年12月号。
ちょうど31年前の本。
パラパラ眺めてみると、載っているレシピは今とそう変わらない。

内容

僕が産まれた記念に取っておいてくれたのだろうか。
大掃除でたまたま出てきたのかもしれないが、そう思うことにした。

結婚したて-28歳の母が本を読みながら一生懸命に料理する姿を想像してみた。
なんとなく微笑ましい。
今でこそ料理上手な母だが、一日一日、三十年の積み重ねがあってのこと。

子どもの頃からご飯が楽しみだった。
弁当は一度も残したことが無い(記憶が正しければ)。
いつも彩りが綺麗だった。

母は今でも仕事を終えて、どんなに遅くなっても夕飯は自分で作る。
出来合いのものは買わない。

そういう姿勢を僕も見習っている。

料理をしながら酒を飲むのも親子で同じ。
変なところまで似てしまった。

食事は家族の健康を守るもの。
人の体をつくるもの。

教えてくれたのは、台所に立つ母の姿だった。 

一人暮らしの時はファストフードや買ってきたものばかりだった。
教えに気づくのに、三十年かかった。