近くて遠い街、市川。
車で通ることはあっても、電車では滅多に降りない場所。

ここ市川で、とても面白い喫茶店に出会った。
JR市川駅の北口から徒歩2分。

ゆぱんき外観

「ゆぱんき」
 
名前からして不思議な感じ。

実は「ゆぱんき」さん。
高校の1コ下の後輩のお父さんが営んでいる。

この日。
その後輩と13年ぶりに落ち合い、一緒にお父さんのお店に来たという流れ。

ゆぱんきのマスター①
 
マスターの加藤さん(後輩のお父さん)。
眉間に刻まれる深いシワ。
初めての人にはおっかない印象を与えるかもしれない。 

某口コミサイトにも「無愛想」「無口」と書かれている。
しかし。
どれだけネットの口コミが無意味なものかを改めて知ることになった。 

「30歳か。もう一人前だな。」 

後輩が一緒だからか、よく話してくださった。

「兄弟4人か。そりゃ賑やかだろう。」 

渋い声でパキリパキリと話されるから、無愛想だと思われるのだろう。
でも愛嬌がある方だと感じた。 

話してばかりも何だから、珈琲を頼んだ。
注文したのは「ゆぱんきブレンド」。

ゆぱんきブレンド
 
全て自家焙煎。 
苦みがあって濃い印象。
でも決して嫌な苦味じゃない。
甘く、香ばしい。 

「ゆぱんき」さんのメニューは珈琲のみ。
紅茶は勿論、お菓子の類やランチメニューも一切ない。
ただ、珈琲だけ。 

飲食店に卸すこともない。
お店に来た方に珈琲を出す。
それが全て。
このスタイルで27年。
すごい…。

自家焙煎の珈琲豆

珈琲の好きな人が通い続けているんだろう。

僕が来たときは他にお客さんはいなかった。
しばらくすると、ぱらりぱらりと人が入ってきた。
みんな常連さんだった。

「しばらくだね。変わりは無いかい?」 

マスターが40~50代の女性に言った。

とても暖かい雰囲気。
奥様が一緒にお店に立っておられるのもあるだろう。
誰もが知り合いの家に遊びに来るような感覚で
お店に来ているような印象を受けた。 
常連さん同士の仲もいい。

もちろん珈琲が旨いのもある。
それ以上にこの空間と時間を楽しみに来ているように思った。 


カメラの話をしていた。

すると。

「あんたカメラ好きなのかい。そうか。」 

マスター、右上の戸棚を開けてゴソゴソ。

マスターのお宝カメラ

「どうだい、いいだろう。」 

見せてくださったのは年代物のカメラだった。

「このシンプルな美しさがいいんだ。」 

同じ気持ちだった。
昔ながらの無骨だけれど無駄のない機能美。
鈍い肌触り。
たまらない。

* * * 

そんな感じで二時間ほどいた。
水を3杯おかわりした。

後輩とご両親、弟さんに会えたのが嬉しかった。
そこには一つの家族があった。

小説に出てくるようなお店だと思った。
不思議な時間が流れる「ゆぱんき」さん。

帰り際に店内をもう一度覗く。

ゆぱんきのマスター②

やっぱりマスターは、珈琲を淹れていた。


●市川・珈琲専門店「ゆぱんき」
 
・住所 市川市市川1-7-1
・営業 月~土/10:00~21:00(日曜休)
・電話  047-326-9611
・豆の持ち帰りあり