「北風と太陽」

北風と太陽

誰もが耳にしたことがある、有名なイソップの話。
 
今さらだけれどあらすじを。

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ある日、北風と太陽が力比べを試みる。
どちらが旅人の服を脱がせられるかの勝負。

先攻は北風。
思い切り冷たい風を旅人に吹きかける。
旅人はますます服をぎゅっと押さえる。

後攻の太陽。
あたたかく旅人を照らす。
暑くなった旅人はおのずと服を脱いだ。

この勝負、太陽の勝ち。
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この話。
普段ひとと接するとき、改めて大事だなと思う。

冷たくしたり、強引に力や理論で接すれば
相手は心を閉ざす。
上っ面はよくても、一線が引かれる。

頭で分かっていても、冷たく接してしまうときがある。
うまく言えないことがある。

優しく、相手の心に寄り添ってあたたかく接すれば
ひとは自然と心を開いていく。 

人が集まるひとがいる。
慕われるひとがいる。 
そんな太陽のようなひとが、ぱっと思い浮かぶ。
 
何も押しつけない。
だから話したくなる。
聴いてほしくなる。 
そこにいるだけで、あたたかい。

* * *

仕事にも通ずるものがある。
 
「たびびとのふく」を、購買(依頼)の意思決定に置き換えてみる。
 
「ひとの心を動かす」という視点で考える。

とりわけモノより「人」が重要な商売で言えること。

北風は力技の営業や大量広告、ダイレクトメールに置き換えられる。
私たちは日々たくさんの広告を目にし、営業を受ける。
多すぎるくらいに。
その中でいくら売り込まれてもなかなか心は動かない。
もう結構です。言いたくなる。
シャットアウト。
 
太陽は「こちらからお願いしたくなるひと」。
いつもそこにいて、何かあったときにぱっと顔が思い浮かぶ。
声をかけたくなる。
お願いしたくなる。
相手の立場で考えられて、押しつけない。

太陽。 
燃え続けるには相当のエネルギーがいる。
心のあたたかさだけではなく、情熱も指す。
それは人や仕事に対する真摯さでもある。 
太陽のような人はいつだってパワフルだ。 

北風と太陽。
アウトバンドマーケティングとインバウンドマーケティングの比較に似ている、
と言えなくもない。

人間関係は「どちらか」の二項対立で表しきれるものではない。
北風のごとき勢いが必要なときだってある。
それでも重要なことを教えてくれる話だと思う。 

時に問う。

自分は北風になっていないだろうか。

* * *

全くの余談だけれど-

今日は奥さんの誕生日。
近しいひとにほどワガママになりがち。
北風になってしまう。

「いつもありがとう」の気持ちを忘れずに、お祝いをしてあげたい。