TPPは国民皆保険制度を破壊する?

と報道され、私の周りでも心配される方が増えています。 

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これは
「医療分野もTPPの対象となり、混合診療の解禁が議論される」
と発表されたことに端を発します。

賛成か反対かはさておき、大きな関心分野である医療に関しては
自分なりの視点を整理しておきたいと思います。 
何が問題なのでしょう?

TPP参加→いきなり公的医療保険がダメになる

本当にそうなのでしょうか?


●混合診療について 

今、日本では混合診療が禁止されています。
病院での診療は大きく以下の2つ。

①健康保険が適用になる診療
②健康保険の対象外となる診療(自由診療)

この①と②がミックスされると、本当は保険がきくはずの①も全額自己負担になる。
これが混合診療の禁止のしくみです。

なぜこんなことをするかと言うと、

保険のきくもの、きかないものを自由に組合せられるなら、
お金のある人ばかりがより優れた医療サービスをドンドン受けられてしまう!
それは不公平だよ!いっそ思いきり高くするしかない!

ということです。
なるべく皆が安く病院を利用できるように、というのが公的医療保険の出発点。
だから矛盾しない…? 


●医療サービスの公平性 

今、本当に医療サービスは公平なのかな?
と考えてみます。 

例えば-
お金を持っている人は海外でしか受けられない治療のために渡航することもあります。
「大切な人をなんとか救いたい」
この想いは全ての人に共通。

けれども十分な資金が準備できない人もいます。
これは見方によっては不公平とも言えます。
上を見れば、現時点で必ずしも平等とは言えません。

他にも細かいところを挙げれば、
企業からの上乗せ給付、健保組合による手当、個室を希望した時の料金(差額ベッド代)など
みな同じではありません。
また、厚生労働省が認めた先進医療は混合診療が認められています。中には高額なものも。

言いたいのは
お金のある方が高いサービスを受けることに対する不公平感より
「誰もが医療を安く受け続けられるためには?」という点に注目すべきだということです。


●海外との競争が起きる? 

ジェネリック(後追いで作られた安くてほぼ同じ効果がある)薬品の参入など、
すでに競争ははじまっていると聞きます。 

医師会が反対するの理由の一つは
海外の競争力があるサービスや薬が入ってきて、自分たちのシェアが奪われる可能性がある。
というもの。

これは民間保険における外資参入や規制緩和でも同じです。 
(同じ土俵で考えてはいけませんが)
競争の中でより良いサービスを工夫していくのはどの業界も一緒です。
淘汰もあるでしょう。

ただ、これを公的医療保険制度の崩壊に即むすびつけるのは早すぎるようにも感じます。

「最低限の医療サービス」 と書くと語弊があるのかもしれませんが、
不公平感を強調するよりも、制度を維持しながらバランスをとる方法はないものか…(理想論ですが)
いろいろな意見を聞いていきます。

考えるべき論点はどこか。

http://blog.livedoor.jp/ando_shinsaku/archives/3665142.html